京都三条大橋から旧東海道を歌川広重の東海道五拾三次の旅とは逆方向に進んできた。前回は桑名宿まで進みたかったが寄り道癖のおかげで四日市宿にて打ち止めとなった。暗くなっては面白くないし急ぐたびではないがペースが遅く、すでに延べ3日もかかっている。正確には半日×2回+1日。まあ、時間も金も無いのでしょうがない。
次回は四日市宿から再スタートするのだが、次の宿場の桑名宿から先が問題だ。桑名宿の次は宮宿という熱田神宮の門前町なのだが、旧東海道で二箇所あった海路のうちのひとつ「七里の渡し」が控えている。船での定期航路は無い。船で進みたければ有志によるイベントやチャーター船などを利用するしかないようだ。ならばどのルートで行くか、しばらく時間をかけて歴史的背景や沿道の状況など踏まえて一考してみる。
まずは海路。先述したとおり七里の渡しをトレースするような桑名から名古屋までの定期航路は無い。チャーター船の場合、定員10名の船で37,800円也。10名集めれば1人あたり3,780円と現実的な金額だが、いつもの4人だと1人あたり1万円近くかかってしまう。楽しそうだが1万円はとても出せない。ということで却下する。
しかしなぜこのルートだけ昔人は船で進むという手を使っていたのか。それはいわゆる木曽三川と呼ばれる、長良川、木曽川、揖斐川が行く手をはばむがごとく流れ、そして数々の輪中により複雑な水路なっているから。桑名宿から数々の輪中に橋を掛け渡り進む事は不可能だった。桑名から佐屋まで川を三里ほど北に進む「三里の渡し」に乗り、佐屋から佐屋街道で宮宿まで歩くルートもあったようだが、遠回りしたうえ船にも乗らなくてはならない。それならば最初から全部船で行ってしまえって事で「七里の渡し」が正式な東海道のルートになったのかもしれない。歩けば丸1日掛かるものが3〜4時間で行けるならそちらの方が良い。
昔人もこの区間は船に乗るという楽ちんルートを選んでいたのなら、現代の楽ちんルート、電車という手もある。電車だと桑名から名古屋方面に近鉄とJRが出ている。一方、宮宿の最寄駅は名古屋地下鉄伝馬町駅か、JRだと熱田駅。名鉄神宮前駅というのもある。近鉄だと桑名から近鉄名古屋まで行き地下鉄で2回乗り換え伝馬町まで、710円。およそ50分ほどで着く。JRだと桑名から名古屋乗り換え熱田まで、500円。こちらも50分くらい。近鉄と名鉄で名古屋乗り換えで神宮前まで行くのは670円。JRより高いが40分ほどで着く。安さはJR、速さは近鉄名鉄コンビ。自転車を担ぎ名古屋駅で乗り換えをする事を考えるとJRかなと。
チャリダーらしくやっぱり自転車で完走を目指したい気もする。ナビで出発地を桑名の七里の渡し跡とし、到着地を熱田の七里の渡し跡としてルート検索してみる。最短ルートとしては国道23号線経由が23kmと出た。もうひとつのルートとして国道1号線経由が24kmと出る。距離はどちらも似たようなものだが、国道23号線は南側を国道1号線は北側を進む。しかしどちらのルートも幹線道路。自転車では走りにくいだろうし走っていても楽しく無いだろう、というのは容易に想像できる。
他にも国道1号線と国道23号線の間を走る東海通(とうかいどおり)という道もあるようだ。明治になり七里の渡しが廃止され、国道1号線が開通するまで使われていた「明治東海道」と呼ばれた道があった。ほぼ今の東海通(とうかいどおり)とほぼ同じルートらしいが、交通量は多く道は狭いようだ。どちらのルートも明治以降の埋め立てによって陸地になった場所を通るので名所旧跡には巡り合わないだろう。
七里の渡しのルートついては「さすらいの脳天気」さんが、詳しく書いている。
先にも書いたが佐屋街道という旧街道があるらしい。旧街道好きには外せない。昔も七里の渡しで長時間船に揺られて船酔いするのが嫌な人や、海難事故を心配する心配性な人、船という密閉空間での犯罪に逢いたくない人、天候や海の干満による欠航や航行時間が長くなったりした場合などなど、理由はあれど佐屋街道を利用していた旅人は多かったようだ。いわゆる東海道(七里の渡し)の脇街道ともいえるのか。
佐屋街道を進む旅人は桑名から「三里の渡し」に乗り木曽川、佐屋川を北上し佐屋宿を目指す。佐屋から陸路で熱田宮宿まで六里の距離。宿駅は佐屋宿、神守宿、万場宿、岩塚宿の4宿があった。
佐屋街道のルートついては「さすらいの脳天気」さんが、詳しく書いている。
という事で、桑名宿から宮宿のルートは三里の渡し&佐屋街道で進むことにしよう。ナビで検索した最短ルートと比べると大幅に距離は長くなるが、楽しさは期待できそうだ。
しかしながら四日市駅前駐輪場に一時預けしている自転車が気になる。輪行バックを忘れてきたから持って帰られなかったのだが、あれから1週間がたち2週間がたちと、次の日程が決らない。駐輪料金も気になる事ながら長期駐輪で撤去されたら困る。一旦車で取りに行くことにした。