石薬師宿から四日市宿

今日は滋賀県三雲から鈴鹿峠を越え、三重県入りして来た。庄野宿を過ぎ田園風景を楽しみながらいよいよ石薬師宿へと向かう。

石薬師の一里塚。大きく枝葉を広げた立派な木だ。橋を渡ると石薬師宿に入る。前の庄野宿からはかなり近い。

石薬師宿

上段:今昔マップon the web 明治22年測図 明治26年発行地形図  下段:Google Map 2017

天保14年(1843年)の東海道宿村大概帳によると、石薬師宿は、本陣3軒、脇本陣なし、旅籠15軒があり、家数241軒、人口991人と小さな宿場だった。

真言宗東寺派の石薬師密寺。ご本尊は弘法大師が一夜のうちに爪で彫ったといわれる薬師如来。

本堂。右手に弘法大師像が建立されている。ご朱印帳を忘れた。

石薬師(石薬師寺)

歌川広重 東海道五拾三次 石薬師 石薬師寺 保永堂版

石薬師寺を中心とした宿場町をやや距離をとって画いている。手前の畑道と交差して左右に走る道が東海道。高い木立の奥に石薬師寺の山門と伽藍の屋根が見える。背後の山並みは鈴鹿山脈となるが実際よりも随分と大きく画かれている。

石薬師寺山門前の三叉路が構図だろう。しかし住宅が建ちこんでいてドローンでもないと歌川広重のような構図にはならない。人もいないのでつまらない。電柱も標識もじゃまだな。

石薬師寺をあとにし、お寺沿いに続く東海道の坂道を行くとギボシのついた瑠璃光橋を渡る。石薬師宿の本陣はもう少し先だ。

橋の下には国道1号線が走っている。石薬師宿を分断するルートを設計したおろかなヤツの顔が見てみたい。

信綱の生家。どこの信綱と思いきや、佐佐木信綱とのこと。歌人で国学者だそう。

石薬師文庫。

石薬師宿は江戸から百一里三十四丁七間の距離にある。元和2年(1616)に宿場となった。小澤本陣跡。別名松本陣。宿帳には赤穂城主浅野内匠頭の名前も残っているそう。

石薬師宿をあとにし、国道1号線を走っていると前方に「とんてき」の文字が。あ~腹減った。そういえば、おにぎり食ってから何も食べてない。もう「とんてき」の口になっている。70m先には「とんてき」が待っている。とんてき、とんてき、とんてきすてき。

来た来た、とんてき。来来憲。でも今は準備中。なんてこった、ぱんなこった。開店の4時まであと15分。待つしかない。

店先で待つこと15分。そして注文してからさらに待つこと約10分。おまちどう様、「とんてき」です。たっぷりのキャベツの千切りの上にこれでもかと「とんてき」が載っている。にんにくもゴロゴロとたまらん匂いを発している。

とんてき定食は1,950円。とんてき単品1,600円。まだ自転車を漕がなくてはいけないので食べ過ぎ注意。ビールも飲まない。店員のかわいらしいお嬢さんいわくボリュームありとのことで今回はとんてき単品1,600円にした。お嬢さんの言うとおりボリューム満点。値段も満点。味はまずまず、肉がちょい硬い。完全には切れてないのでかぶりつくがこれがなかなか噛み切れない。でもきっとクセになるヤツだなこれは。あぁビールが飲みたい。

四日市の街が見えてきた。

杖衝坂。下りでよかった。江戸から来るとしんどい坂。日本武尊が東征の帰りにこの坂に差し掛かった際、大変疲れていたので杖をついて歩いた。とか。

内部川を渡る。

小古曽駅近くの、手羽の極。営業中。気になるが、とんてきで腹いっぱい。

追分駅。

四日市宿

上段:今昔マップon the web 明治31年測図 明治31年発行地形図  下段:Google Map 2017

天保14年(1843年)の東海道宿村大概帳によると、四日市宿は、本陣2軒、脇本陣1軒、旅籠屋98軒、家数1,811軒だった。四日市は古くからの港町で、宮の渡しまでの10里を舟で渡る事もできた。永禄三年(1560年)から毎月4の付く日に六斎市が開かれるようになり地名となった。

東海道資料館。こいつはあやしすぎる。

名残の一本松。旧東海道ウォーカーが写真を撮りまくっている。

旧街道は今は裏通りになっている。近くを並行するように国道1号線が走っているから。でもこの時間帯は表通りが渋滞しているようで、旧街道へも車がバンバン入ってくる。裏通りなのにけっこう飛ばしているし、交差点は渋滞している。

四日市(三重川)

歌川広重 東海道五拾三次 四日市 三重川 保永堂版

小さな木橋と葦の生い茂る鄙びた雰囲気の画。強い風は柳の枝を大きく吹きなびかせ、水際の葦原もみなそよいでいる。橋の上を渡る旅人は風に飛ばされまいと合羽をしっかりと押さえ、土手では転がる笠を追いかける姿が画かれている。奥には船の帆柱が立ち並び海が近くに迫っている事がイメージされる。

三重川って川が見つからない。とりあえず、鹿化川でそれっぽい構図で撮ってみる。自転車のお姉さんの帽子でも飛ばないかと期待したが帽子を被っていなかった。後ろの煙突の煙が風の強さを表してるね。

後日調べると、三重川とは今の三滝川のことのようだ。

いよいよ四日市の中心に入ってきた。中央通りから先はアーケード商店街になる。

左を見ると近鉄百貨店。近鉄四日市駅前はけっこう都会。右に行くとJR四日市駅。JR側はとっても寂れている。

商店街は続く。東海道も江戸に続く。

諏訪神社。

今日の無事をお参りする。ご朱印帳忘れたんだった。

すでに5時半過ぎ。このまま桑名宿へ行くと明るいうちに着けるかは分からない。暗くなってしまってはせっかくの旅が台無しなので、今日は四日市で打ち止め。街中をぶらつくことにする。四日市には飲食店や飲み屋がたくさんある。若者も多くけっこう都会。三重県をなめていたが見直した。

駅前には若者がいっぱい。路上ライブもやっている。旧東海道を進んできた今日、こんなに多くの人を見たのは初めてだ。

酒でも飲んで帰ろうかとも思ったが、とんてきでまだ腹いっぱい。自宅までは近鉄特急で2時間くらい掛かるので、さっさと帰ることにした。

そういえば輪行バックを持ってきていない事に今更ながら気付く。やばい。数日止められそうな場所を探す。屋根付きで他の自転車が止まっていて人目に付かなそうな場所。マンションの駐輪場、パチンコ屋の駐輪場、どこも無理そう。とりあえず自転車を駅前の駐輪場に持っていく。一時預かりで取り合えず預ける。管理人のおっちゃんに今日は遅くなるかと聞かれるが、今日は無理かもと答える。1日120円。早く来ないとどえらいことになるな。

3分後に発車の近鉄特急なんば行きにのる。ホームの売店でぎりぎりビールをゲット。車内はにんにく臭全開なんだろうな。名古屋経由で新幹線に乗るよりも所要時間は10分ほどしか変わらない。しかも値段は半額。乗り換えも無いしこれは近鉄特急一択しかない。

四日市から1時間48分で近鉄鶴橋駅到着。このあとはJR大阪環状線に乗り換え。

満員の車内で、にんにく臭が気になる。