泊りでへんろ お鶴太龍 再挑戦 その3

阿波三大遍路ころがしのお鶴太龍を打ち進み、暗闇の中を平等寺へやってきた。宿を予約していないいつもながらの行き当たりばったりの旅。コストパフォーマンスで比べると阿南のビジネスホテルに泊るのが最良と判断し、自転車を新野駅前に停め列車で阿南へやってきた。

阿南プラザインは清潔快適、大浴場で朝風呂を満喫し、無料で付いている朝食もガッツリ食べた。フロントの可愛らしいお姉さんは朝からがんばっている。

早朝の阿南駅前。

早朝の阿南駅にガラガラガラガラというディーゼルエンジン音が響き渡る。JR四国カラーのキハ47の3両編成徳島行きが、今から乗る対向列車の到着を待っている。始発に乗ろうと思ったが、6時半からのホテルの朝食を食べたくて、始発から2本目の7時46分発に乗る。食えるものは食えるときに食っとかないと、勿体無いという精神。

阿南駅から汽車で17分。自転車を置いてある新野駅に戻ってきた。明るい時刻に見る新野駅は、絵に描いたような無人駅だった。今日はここから自転車お遍路スタート。

昨夜通った道を進んでいくと、遠くに平等寺が見えてきた。

第二十二番札所 白水山 医王院 平等寺

弘法大師がこの地で修行の際、空中に5色の霊雲がたなびき、その中に黄金の梵字が現れた。歓喜して加持されると薬師如来の尊像が現れて光明が四方に輝いた。加持水を求め杖で井戸を掘られたところ、乳のごとき白い水が湧き溢れ、その霊水で身を清められた大師は100日の修行の後に薬師如来像を刻み本尊として安置し人々が平等に救済されるようにとの願いをこめて山号を白水山、寺号を平等寺と定められた。

寺は大規模に栄えたが、天正年間に長宗我部の兵火によって焼失し、江戸時代中期に再興されて現在に至っている。

平等寺到着。山門の脇にはコスモスがちらほら。

手水には花が浮かんでいる。朝日が水面を照らし心洗われる。

本堂。カラフル。

本堂に安置されている仏様と繋がった紐が山門まで伸びている。天井絵といい平等寺はお洒落でカラフル。

朝もやに煙る平等寺の境内。すがすがしいとはこの事だ。すでに8時をまわっているが、朝のお寺はとっても気持ちがいい。

こちらが太子堂。

納経所の隣の休憩所では、弘法の霊水とお茶とみかんがお接待として頂ける。お水を頂いてみる。大師が杖で掘られた霊水は男坂の左下にあり、どんな日照りにも枯れることなく湧き出ているそう。

白水山 医王院 平等寺ゲット。

平等寺の宿坊、坊主の宿。昨晩は満員で泊れなかった。納経所のおばちゃんに聞くと、部屋数も多くなくたくさんの人は泊められないそう。込み具合は休日とか平日とかは関係ないそうだ。

平等寺をあとにし、次ぎの札所 薬王寺に向けて出発。

平等寺から南へ進んで行く。朝日を正面に受けて走る。

平等寺から南へ3kmほど走ると、月夜御水大師。手前の杉の木は阿南市の天然記念物。樹齢約千年、高さ31m、幹の回り6.25m。弘仁二年(811年)弘法大師が枝をさしたものといわれている。

峠越えのへんろ道を登っていく。こんな道だが県道284号線。

朝イチに平等寺を出発したと思しき歩きお遍路さん。挨拶をし追い越して行く。

地図を見ていると近くで作業をしていたおっちゃんに、「この先も狭いけど通れるぞ、自転車も行ってるぞ」と、へんろ道を教えてもらった。倒れた竹を避けながら自転車を押し上げる。

一番軽いギアで漕ぎ始めるが前輪が浮き上がるほどの急坂。押し上げるしかない。急坂の先には国道55号線 土佐東街道に登りつく。

国道55号線 土佐東街道を走り、横を流れていた福井川は福井ダムにより湖になっている。福井ダム湖に掛かる名月橋を渡り、二十二番平等寺の奥の院である弥谷観音に寄ってみることにした。

第二十二番 平等寺奥の院 弥谷観音

第二十二番平等寺奥の院、弥谷観音。無人の納経所には、ご朱印は電話下さいとの事。慌てる旅ではないが、待つ時間がヒマなのでスルーする。

福井川に沿って走る。若干のアップダウン、いい感じに汗ばむ。

歩きお遍路さん。登り坂の上で長めの休憩を挟むと追いつかれ下り坂で引き離す。この先の日和佐道路と国道55号土佐東街道の分岐辺りで地図を見ながら迷っているとまた追いつかれた。日和佐道路は人と自転車は通行できない。この先、国道55号土佐東街道で山の中を行くか、由岐へ峠越えをし海岸線を行くか、彼と少し話した。彼は区切り打ちの歩きお遍路。お互い気を付けて行きましょうと挨拶し別れる。歩きと自転車、たぶんもう出合うことは無いだろう。

由岐への峠越え。坂道は苦しいが、峠の先の下り坂を思えばペダルに力が入る。

由岐坂トンネルの先は由岐の町までヒルダウン。下りはとっても楽しいのだ。

由岐の町は漁港の町。新鮮な海鮮料理が食えそうな店があるようだ。漁港の町を散策したいが昼ごはんは日和佐までガマンしよう。

由岐にあるサーファーショップ。この辺の海岸はサーファーのメッカ。

目の前に広がる田井ノ浜。ようやく海に出会えた。

穏やかな海。のんびりとした時間が流れている。

田井ノ浜駅は夏場の海水浴シーズンにしか列車は停まらない。ホームの向こうはすぐ砂浜のようだ。

南国ムードだが、今の季節は誰もいない。

田井ノ浜駅を通過する普通列車。やはり夏場しか停車しないようだ。

田井ノ浜からひと山越えると木岐の漁港。

漁に出かけるのか。

海岸沿いにへんろ道が続くようだ。やたらと左に行けという案内板がある。

海岸沿いを急斜面で続く俳句小道。

自転車を押し上げて行くしかない。

 

俳句投函ポストがある。柱にはすばらしいと思われる俳句が書かれている。

俳句小道。緩やかなのぼりのオフロード。自転車をガシガシ漕いで進んでいく。俳句を考えながら自転車を漕ぐが、煩悩が多すぎる頭にはゲスでしょうもない俳句しか浮かばない。

汗だくで上りきると太平洋が一望できる。あぁ~日ごろのストレスから開放される~。このルートで正解だったな。

下りのワインディング。車も来なさそうなのでガンガン攻めてみる。

下り坂はあっという間の楽しい時間。走り去る横目に外人へんろが寝そべっているのが映る。こんにちは~と言うとハローと返ってきた。

内海になった恵比須の漁港。

何か養殖もしているのか。

恵比須浜キャンプ場。目の前は海水浴場。磯も近くにあり、釣りもできる静かでのんびりできそうなキャンプ場。

キャンプは海へ山へと年に何回も出かけている。BBQやカレーも楽しいが、ダッチオーブンで作る鶏の丸焼きや、ウッドチップでチーズやベーコンの燻製はめちゃ美味かった。真冬のオートキャンプではタープの下にコタツを出して鍋を食ったりと、まぁとにかくキャンプに行くと酒びたりになっている。

恵比須浜。太平洋だが湾になっているので波はおだやか。

太平洋がキッラキラ。

恵比須浜から海岸沿いに進むとまたひと山登る。