四國徧禮道指南でへんろ いよいよ伊予路は山ばっか その2

我が故郷、愛媛県に突入。今日は「四國徧禮道指南」という江戸時代のお遍路ガイドブックに従い、宿毛から松尾峠を越えるへんろ道を進み、観自在寺を一先ず目指している。

あちこちクリが落ちていて秋を感じる今日この頃。あまり知られてないが愛媛県はクリの生産量が全国3位なのだ。ミカンだけじゃないんだよね~

松尾大師。松尾峠に祀られていた大師堂を東小山の集落に移転し長く祀られていたが、その後一本松集会所の庭に移転され、現在は一本松の集落に入る手前の道路脇に祀られている。

一本松の町に到着。現在は町村合併で愛南町という地名になっている。

あっという間に一本松の町中を過ぎると広見。「四國徧禮道指南」に記されている「ひろみ村」はこの辺り。

「四國徧禮道指南」には「ひろみ村 さゝへかける時は荷物を此所にをく」とある。つまり、篠山越えで稲荷(41番 龍光寺)へ向かう時は荷物をここに置いて観自在寺までを往復したらよいとの事だ。

「四國徧禮道指南」には観自在寺から次の札所の稲荷(41番 龍光寺)へ行くのに三つの道筋があると書かれている。一筋は海岸を行く灘道で十三里の道のり。二筋は中の道で大岩道越えの道で十三里の道のり。三筋は篠山越えの道で十四里半の道のり。

一筋の海岸を行く灘道で行くことにしたのでココに荷物を預けずに観自在寺へと進む。

県道からそれる形で憩いの道と称するへんろ道を行く。小川沿いのいい雰囲気の道。

木漏れ日の中、小川にかかる橋を渡る。

上大道。「四國徧禮道指南」に記されている「うはおほたう村」はこの辺り。

ところどころに、へんろ道が残っているので、もれなく進入して行く。

満倉の集落。移住の広告があちこちに張られている。ここに移住してのんびり暮らすのもいいかも、でも仕事はどうしよう?

満倉の大宮神社の横に休憩所がありトイレストップ。

いっぷく堂を横目にのんびりと進んで行く。

坂を下ると町っぽくなってきた。街道筋にはイイ雰囲気の民家が並ぶ。

城辺町の街に到着。今は町村合併でこの一帯は愛南町という。「四國徧禮道指南」に記されている「じやうへん村」はこの辺り。

「じやうへん村」にはナイトスポットもあるのだ。

旧御荘町に入り、僧都川を渡ると観自在寺は目の前。

第四十番札所 平城山 薬師院 観自在寺(へいじょうざん やくしいん かんじざいじ)

弘法大師が大同2年に平城天皇(在位806〜809年)の勅命を受けてこの地を訪れ、1本の霊木から本尊の薬師如来と脇侍の阿弥陀如来、十一面観音菩薩の三尊像を彫造して安置し、開創したとされている。このとき、残った霊木に「南無阿弥陀仏」と6字の名号を彫り、舟形の宝判を造って庶民の病根を除く祈願をなされた。平城天皇はまた、勅額「平城山」を下賜し、次の嵯峨天皇(在位809〜823年)とともに親しく行幸され、御朱印を下されて「一切経」と「大般若経」を奉納し、毎年勅使を遣わして護摩供の秘法を修された。こうしたことから、この地方を「御荘」と称し、また勅額の山号に因んで「平城」とも呼ぶようになっている。寛永15年(1638年)、京都・大覚寺の空性法親王が四国巡拝の折に宿泊され、「薬師院」の院号を授かっている。このころは七堂伽藍がそびえ、末寺48坊、寺領二千数百石という隆盛を誇っていた。だが、火災によりすべての堂塔を焼失、その後は宇和島藩主・伊達家の祈願所として旧観の回復に努め、法灯を守っている。

門前町の突き当たりに山門が見える風景は、心が落ち着きイイもんだ。伊予国 愛媛県は「菩提の道場」。観自在寺はその最初のお寺で、一番札所の霊山寺から最も遠くにあるので、「四国霊場の裏関所」とも呼ばれる。へんろ旅もようやく半分が過ぎたということだな。

山門は約200年前に建立された総欅造り。

手水も使えるようになってきた。

鐘を撞かせていただく。心に深くしみるイイ音色。

境内を進んで行く。八体仏十二支守り本尊では、水を掛けて自分の願いを成就する。

本堂は昭和39年に全国の信徒の浄財だけで再建された。本尊薬師如来、脇仏十一面観世音菩薩、阿弥陀如来を奉安している。

鉄筋コンクリートちっくなのがちょっと残念。

大師堂。慶応二年(1866)に再建されたものを昭和29年に修復したが老朽が著しくなり、平成5年に総檜の宝形造りで建て替えられた。こちらの建物は木造でカッコよろしい。回廊では四国八十八ヶ所のお砂踏みができる。このあと納経しご朱印をいただく。観自在寺をゲット!

山門の横に生絞りジュースの店がある。

お土産にいいかも! でも重いのであきらめた。

お店のおかみさんに生絞りミカンジュースをお願いする。小ぶりのミカン11個を絞ってくれる。小ぶりの方が甘酸っぱくて美味しいそうだ。コロナでお遍路さんが少なくなり、お寺も民宿も収入が激減し大変だそうだ。こちらのお店は通販もあるので何とかやっていけているそうだ。早く活気のある四国遍路に戻ればいいなぁ。

疲れがいっぺんに吹っ飛ぶ美味さ。

観自在寺の次のお寺は50km以上先の三間町に建つ龍光寺だが、「四國徧禮道指南」には三つの行き方があると記されていて、すべてのルートが津島町に建つ満願寺を経由している。一筋目は海岸を行く灘道で十三里の道のり(黄色のルート)。二筋目は中の道で大岩道越えの道で十三里の道のり(赤色のルート)。三筋目は篠山越えの道で十四里半の道のり(青色のルート)。海岸を行く灘道で進もう。「此間山路たにあい」と記されているとおり、道中は上り坂と下り坂を繰り返すのだろう。

御荘湾には一世を風靡した昭和のリゾート施設「南レク」がある。そういえば子供の頃、家族旅行で来たことがあったなぁ、昼はプールで泳ぎ、ロープウェイに乗って展望タワーに登ったり、夜はボーリングをしたりと。楽しかった思い出に浸ってみる。

以前は御荘湾の海の上をロープウェイが渡っていたが今はもうない。山の上には展望塔があり絶景のパノラマを感応できる。「四國徧禮道指南」に記されている「ながす」はこの辺りだろう。

御荘湾を横目に国道56号線を進む。八百坂峠を緩やかに登り、菊川の集落を抜け、再び国道56号線に戻ってきた。「四國徧禮道指南」に記されている「する木」はこの辺りだろうか。

室手の坂道を登りきると絶景に会えた。海の色に目が奪われる。

沖合いに三っつ並ぶ小島が気になる。

坂を下っていくと内海村(今は愛南町)柏の漁港が見えてきた。

この先は、柏坂という標高470mの峠までへんろ道を登らねばならん。その前に腹減った!町っぽいので、ランチなどできる店はないかと探してみたが、2軒あるお店はどちらも閉店ガラガラ。

こまった時のハートステーション、柏のローソンでカワイイお姉さんからオニギリとドリンクを仕入れる。どこか景色のいいところで食べよう。

これから登ろうとしている柏坂峠の山には風車がたくさん並んでいる。「四國徧禮道指南」には「かしわ此間二里の坂」と記されている。一里は3,927mなのでおよそ8kmも続く坂道なのかと思ったが、地図を見ると3km弱の坂道のようだ。一里が3,927mと定められたのは明治以降だとか。「四國徧禮道指南」が書かれた江戸時代初期の一里は、半時(1時間)歩いた距離だったと思われる。そのため坂道の度合いで距離は違ってくるのだろう。3km弱を2時間ほどで越えるというと、そこそこ険しい山道なんだろうな。将来、この山を高速道路のトンネルが貫く計画のようだ。トンネルができると山向こうへ抜けるのに5分と掛からなくなるンだろう。

柏坂峠への入口を探しながら柏川に沿って走って行くと、絵に描いた様なしぶい雑貨屋があった。

さらに走ると、とある民家の玄関先から柏坂峠への登り口が続いている。

柏坂峠へ向けて登っていくが、いきなり斜度がきつくなり漕いでは進めなくなり、自転車を降りて下を向いて押して登っていく。が、いきなり巨大なクモの巣に頭から突っ込んでしまい、巨大なキモいクモが左腕に落ちてきた。これには参った参りました。思わず「ウワー」っと声を出して自転車をほっぽり出し、クモを払いのけたが、頭にはクモの巣が絡まり付いている。ついに心が折れた。もうクモの巣もクモもイヤだ。イヤなのだ~。

どんな困難にも立ち向かう勇気とやる気を自分にください。と、思わなくもないが、巨大なキモいクモは嫌だ。クモに心を折られ、柏坂峠を断念する。あきらめも肝心だし、無理なものは無理と言える勇気も必要だと自分を納得させ、ローソンのあった柏まで戻り国道56号線を行く。国道56号線はこの先の柏崎半島を内海トンネルで貫いていて時間短縮できるのだが、交通量が多く歩道がないと怖いなぁと思っていたら、ココには自動車用のトンネルの他に歩行者用のトンネルがあった。

歩行者用の内海ふれあいトンネルは、後ろから車に迫られる恐怖もなく、快適にトンネルを進む。トンネルの先から涼しい風が吹いてきて、汗だくの体をクールダウンしてくれる。

トンネル内に飾られているユカイな絵を発見!ちょっとニヤけてしまう。走りながら撮ったのでピンボケ。

トンネルを抜けると目の前の絶景に足が止まる。しばし海を眺めイヤな事を忘れる。

国道をガシガシ進んでいたが、揚げモンの匂いに誘われ自転車を止めた。おっちゃんとおばちゃんがやっているお店には、から揚げ、コロッケ、天ぷら串、カレーパン、あんドーナツ、フランクフルト、カキ氷、ソフトクリームなんかを売っている。俺の大好物ばっかやん!と、嬉しい心の声をおばちゃんに言うと喜んでくれた。

コロッケと天ぷら串をローソンで買ったおにぎりと共にいただく。おっちゃんがミカンをくれた。

デザートはソフトクリーム。コーンがよかったが大人っぽくカップにしてみた。おっちゃんとおばちゃんとおしゃべりしていると、辺りでガサガサと物音がした。鹿や猪はよく現れるが最近はサルが悪さをするらしい。やがておっちゃんはソフトクリームの配達に行くと言い、「ゆっくりしていきな~」と言って軽トラで出かけて行った。

海が綺麗だ。と思っていたら「日本の渚100選」に選ばれた須の川海岸という海岸らしい。

須ノ川海岸には須ノ川園地というアウトドア施設がある。キャンプやシーカヤック、シュノーケリングなど楽しい事ができる。

池の向こうに整備されたフリーサイトのキャンプ場が見える。他にも車を乗り入れられる「グリーンパークすのかわ」というオートキャンプ場もある。

海岸は砂浜ではなく玉砂利なんだな。

山をトンネルでショートカットし、次の湾へと向かう。トンネル内には歩道があり安心安全。トンネルは楽々進めるがやっぱり楽しくない。

柿之浦は深い入り江になっていて波が穏やか。国道を逸れ、海に突き出した舟屋が並ぶ町並みをのんびりと走って行く。

沖を望むと真珠貝の養殖イカダが広がっている。リアス式海岸に囲まれた美しい海で生まれる宇和島の真珠は全国一の生産量を誇るのだ。