古都京都の文化財 比叡山延暦寺

比叡山延暦寺は、京都市と滋賀県大津市にまたがる天台宗の総本山で、平成6年に「古都京都の文化財」として世界文化遺産に登録された。

奈良時代末期、19歳の最澄が、比叡山に登り草庵を結んだのが始まりであり、弘法大師の開いた高野山金剛峰寺とともに、約1200年もの間、日本の宗教界最高の地位に君臨している。この比叡山から円珍、円仁、慈円、源信、法然、親鷲、一遍、道元、日蓮などの傑僧を輩出し、平安時代末期には、三塔・十六谷・三千坊を数えていたといわれている。

杉木立が深く生い茂っている比叡山中の境内は、天台宗修行道場としての威厳に満ちみちた雰囲気が漂い、訪れる者の心を引き締める。延暦寺は比叡山の山上山下に大別されており、山上には、根本中堂を中心とした東塔、釈迦堂を中心とした西塔、円仁によって開かれた横川の3地区に分かれている。一方、山下になる坂本には、延暦寺の鎮守社だった日吉大社や本坊だった滋賀院などがある。

戦国時代に織田信長によって、一山焼き討ちに遭ったが、豊臣秀吉・徳川家康の手により諸堂が復興された。。

「働き方改革」真っ盛りの日本、サラリーマンは有給休暇を取らなきゃ怒られる。てなことで用事も無いのに有休取って比叡山延暦寺を訪れた。

京都に行くなら「おけいはん」という事で、京阪電車の京橋駅からスタート。世間は平日通勤ラッシュ、自分は有休。なんだか後ろめたいような、優越感なようなそんな心境。あぁやだやだ!サラリーマン気質がすっかり染み付いてしまっている。

京橋駅の「プレミアムカー券/ライナー券うりば」でプレミアムカー券を購入する。京橋駅から終点の出町柳駅まで運賃は480円。そしてプレミアムカー券は500円なり。

京阪特急8000系。大阪・淀屋橋と京都・出町柳を結ぶエレガント・サルーン。ピンボケ!

ピンボケなので京阪電車のホームページからエレガント・サルーンの画像を拝借。4号車はダブルデッカー(2階建車両)、そして6号車がプレミアムカー。

プレミアムカーの乗車口で特急到着を待つ。6号車の車両の前寄りにある気品ある金色の扉から車内に入るとエントランスがあり、客席とはガラスのパーティションで区切られている。

車内は漆黒色とやわらかな生成り色を基調としていて落ち着いた雰囲気。金色のアクセントがゴージャスだ。シートは座り心地の良いリクライニングシートで、大型のヘッドレストに包み込まれ安心感が感じられる。座席は2+1列の配置、「おひとりさま」にとっては快適空間まちがいない。かわいらしいCAのお姉さんからひざ掛けと雑誌を貰い、京都出町柳まで48分の移動はゆったりとリッチな気分でマッタク退屈しなかった。

出町柳駅で叡山電鉄に乗り換え八瀬比叡山口駅を目指す。出町柳駅からは八瀬比叡山口行きと鞍馬行きが交互に出発している。今日は平日自分は有休、なので仕事の電話が入ってくる。電話を終えて何も気にせずすぐに出発する満員の電車に乗ってしまい、それが鞍馬行きである事を途中で気付く。宝ヶ池で八瀬比叡山口行きの電車に乗り換えるハメとなる。

八瀬比叡山口駅に到着。出町柳駅から270円なり。ここからケーブルカーに乗り換えるが、さすが平日、乗り換え客は数人しかいない。

八瀬比叡山口駅から叡山ケーブルのケーブル八瀬駅までは、高野川を渡り2~300mほど公園内を歩く。自然に囲まれ心地良い。

ケーブル八瀬駅からケーブル比叡駅まで運賃は550円なり。

叡山ケーブルの高低差は561m、これはケーブルカーとして日本で一番だそう。比叡山の中腹まで1.3kmを9分で結ぶ。車両に施されている波型のデザインは、赤が比叡山の山並み、青が琵琶湖の湖面をイメージしたもの。

赤い服を着たお姉さんが乗務員として乗車し、ハンドブレーキを解除しアテンダントとアナウンスをおこなう。運転士は山上駅の運転台で運転しているので車内にはいない。

線路は、山下の駅から山上の駅まで1本でつながった外側のレールと、途中で途切れている内側のレールとでできている。ケーブル1号車は山上の駅に向かって左側に溝型車輪が取り付けられているので、車両が行き違いするところでは上りのときも下りのときも、山上の駅に向かって左側を通る。逆にケーブル2号車は右側を通る。ということで今日乗ったのはケーブル2号車だった。気圧で耳がつーんとなる。

大正14年に開業し、この車両は4代目にあたり、昭和62年に車体が新造され台車回りは先代のものを流用している。座席数は34席あり最大で101人が乗ることができる。

続いてロープウェーに乗り換え。出発までの間、懐かしいカワラ投げに興じてみたり、ロープウェーの部品展示を見たりする。

叡山ロープウェーは、比叡山中腹から比叡山頂までの486mを結ぶ。昭和31年に現在のルートで開業し、平成10年に新造された2代目の車体だそう。やはり運転士は山上駅の運転台にて運転するので乗務しない。

車体デザインはケーブルカーと同じで、波型のデザインは、赤が比叡山の山並み、青が琵琶湖の湖面をイメージしたもの。

ロープウェーからは京都岩倉の街並みが見える。

比叡山山頂バス停からは琵琶湖と大津市街が見下ろせる。普通は、叡山ロープウェーの比叡山山頂駅から延暦寺の東塔に行くには山上シャトルバスに乗るのだが、時刻表を見るとなんと25分待ち。歩けば30分ほど、ボ~っとバスを待っとくのもつまらないのでガーデンミュージアム比叡でトイレを借り、歩いて延暦寺東塔を目指す。

東塔までは徒歩で30分ほど。時間短縮のため下りの山道を駆け下りたり、九十九折りをショートカットしてみたり。

途中には展望広場もあったり。

眺望は良いが天気がイマイチ。

へんろ石が崩れつつある。

山王院を過ぎたところで拝観料を徴収される。東海自然歩道のハイキング者は無料で通り抜けができる。

延暦寺とは、比叡山にある1700ヘクタール(甲子園球場441個分)もの面積の境内地に点在する100ほどのお堂の総称。延暦寺という一棟の建造物があるわけではない。地域別に、東を「東塔」、西を「西塔」、北を「横川」の三つに区分し、これを三塔と呼び、それぞれに本堂がある。

比叡山 延暦寺 東塔

裏手から延暦寺東塔に到着。法華総持院東塔と阿弥陀堂の間から境内へと入る。

法華総持院東塔。昭和55年に阿弥陀堂の横に再興された。伝教大師最澄は日本全国に6か所の宝塔を建て、日本を護る計画をされたが、その中心の役割をするのがこの東塔。ご本尊は大日如来をはじめとする五智如来が祀られており、塔の上層部には仏舎利と法華経が安置されている。

阿弥陀堂。昭和12年に建立された檀信徒の先祖回向の道場。本尊は丈六の阿弥陀如来。

戒壇院。重要文化財。僧侶が大乗戒を受ける比叡山中で最も重要なお堂で、天長5年(828年)に第一世義真座主により創建された。

大講堂。昭和39年に山麓坂本の讃仏堂を移築したもの。本尊は大日如来で、その左右には比叡山で修行した各宗派の宗祖の木像が祀られている。

鐘楼。幸せの鐘と書かれている。ぜひ鐘を撞き幸せになりたい。

幸せの鐘は一打50円也。金額が決められている。高いのか安いのかよく分からない微妙な金額。なのでやめる。

そして本日のメインイベント、根本中堂でございます。が、現在平成28年から10年間の大改修中。最近、改修中の神社仏閣が多いような気がするのは自分だけ?

根本中堂の全容はこんな感じ。根本中堂は延暦寺の総本堂となり、本尊は薬師如来。延暦寺を開いた伝教大師最澄が延暦7年(788年)に創建した一乗止観院が元であり、その後何回も災害に遭ったが復興の度に規模も大きくなった。現在の姿は徳川家光公の命で寛永19年(1642年)に竣工したも。ご本尊の前には、千二百年間灯り続けている「不滅の法灯」が安置され、建物は国宝に指定されている。本堂を囲む廻廊は国重要文化財に指定されている。

改修中だが参拝はできる。足場の組まれた内部へと進み入る。が、この先は残念ながら撮影禁止。

 ↑↑ フォワード株式会社が、比叡山延暦寺 根本中堂にLED照明を約80個設置した、というニュースに根本中堂の仏壇の写真が載っている。

屋根裏の構造なんかは、改修中にしか見られない。なのでヨシとする。

間近で屋根を見ることも、改修中にしかできない。なのでヨシとする。

文殊楼。延暦寺の山門にあたる文殊楼は、参拝者が坂を登ってくるとこの門を潜り、そして高い石段を隔て根本中堂へと導かれる。慈覚大師円仁が中国五台山の文殊菩薩堂に倣って創建したものだが、寛文8年(1668)に焼け、その後再建された。

今日は東塔地区を裏手から進み入り、山門まで逆順で巡ってきた。朝早く家を出てきたのに、さすがに広く、すでにお昼を回っている。

という事で、一隅会館の地下にある、延暦寺御用達 鶴喜そば で蕎麦でも食べよう。

延暦寺の厨房担当だった当代鶴屋喜八が坂本に「本家鶴喜そば」を創業して以来300年。

東塔地区を後にし、歩いて西塔地区へと移動する。途中まではロープウェー山頂駅から歩いて来たルートを戻る形となる。

途中には、山王院堂。法華鎮護山王院といい、第六祖智背証大師円珍の住房で後唐院ともいった。

坂道を下って行く。上りの参拝者は皆さん苦しそうに登っていく。

坂道を下りきると浄土院。

浄土院には伝教大師の御廟があり、弘仁13年(822年)6月4日、56歳で入寂された大師の遺骸を、慈覚大師が仁寿4年(854年)7月ここに移して安置した場所。 東塔地域と西塔地域の境目に位置し、所属は東塔地域になる。

比叡山 延暦寺 西塔

ひっそりとした山道を歩く。

常行堂・法華堂(にない堂)国重要文化財。同じ形をしたお堂が廊下によって繋がっている。弁慶が両堂をつなぐ廊下に肩を入れて担ったとの言い伝えから、にない堂とも呼ばれている。看板に「ただいま堂内にて四種三昧修行中ですのでお静かにお願いいたします」とある。そういえば、中からお経を唱える声が聞こえてくる。

正面向かって左のお堂が、四種三昧のうち常行三昧を修す阿弥陀如来を本尊とする常行堂。

正面向かって右のお堂が、法華三昧を修す普賢菩薩を本尊とする法華堂。

恵亮堂。京都の妙法院を創建した恵亮和尚をご本尊として祀っている。写真を撮り振り向いた瞬間、溝に足を取られズッコける。カメラを落とし、足と手を擦り剥く。近くにいたお姉さんに「大丈夫ですか?」と気遣われ、「こけた~」と意味不明な返事をしてしまう。

釈迦堂(転法輪堂)。国重要文化財。西塔の本堂にあたるのがこの転法輪堂。一般にはご本尊の釈迦如来にちなみ、釈迦堂の名で知られている。現在の釈迦堂は延暦寺に現存する建築中最古のもので、元は三井寺の園城寺の金堂だったが、豊臣秀吉が文禄四年(1595年)に西塔に移築した。

西塔地区から吉川地区までは歩くと2時間くらい掛かるらしい。なのでシャトルバスに載り移動する。

比叡山 延暦寺 吉川

比叡山の山中はシャトルバスが運行している。比叡山頂から東塔、延暦寺バスセンター、西塔、峰道、吉川というルートを往復している。今から乗る西塔から吉川まで580円なり。そして帰りは吉川から延暦寺バスセンターまで650円なり。1日載り放題のフリー乗車券は1,000円なり。しかしバスの車内では販売していない。あ~損した気分!

比叡山のワインディングロードをバスは行く。

木々に覆われ眺望は良くないが、たまに琵琶湖が見えたりもする。

吉川駐車場から吉川中堂までは300mほど歩く。

竜ヶ池の横を歩き、

舞台造りで全体的に見て船が浮かんでいるような吉川中堂の裏手から石段を上る。

横川中堂。横川の本堂で、お堂の中央部が2メートル程下がっていて、そこに本尊として慈覚大師作と伝えられる聖観音菩薩が祀られている。

横川中堂から真っすぐ続く参道を登っていく。

すると、鐘楼がある。戻り鐘とはなるかもしれないが、今日始めて撞かせて頂く。

四季講堂(元三大師堂)に到着。四季講堂をお参りするから、さっき撞いた鐘は戻り鐘にはならないな、などと勝手な解釈で良しとする。

四季講堂(元三大師堂)。慈恵大師(良源)(元三大師)の住居跡と伝えられる元三大師堂は、康保4年(967年)、村上天皇の勅命によって四季に法華経が論義されたことから四季講堂とも呼ばれている。現代のおみくじの形は元三慈恵大師良源が考え出したと言われており、この元三大師堂はおみくじ発祥の地。

吉川から延暦寺バスセンターまでシャトルバスに乗り、坂本ケーブルで大津側に山を下りて延暦寺の鎮守社だった日吉大社や本坊だった滋賀院なんかを参拝しようと考えていたが、JR京都駅行きの比叡山ドライブバスがあるようだ。なんと比叡山から820円で京都駅まで行けるのだ。という事で坂本はまた今度。

比叡山ドライブバスで山を下り、三条や河原町をバスは進む。JRは運賃が高いので、途中の烏丸でバスを降り、阪急電車で帰りましょ。