法隆寺地域の仏教建造物

仏教が根付くのが最も早かった奈良県の斑鳩の里(いかるがのさと)一帯には、法隆寺を中心に法起寺や法輪寺、中宮寺といった聖徳太子ゆかりの古寺が点在している。そのなかでも法隆寺は世界最古の木造建築物を有し、飛鳥時代の貴重な文化財を今日に伝える。

1993年に「法隆寺地域の仏教建造物」として法隆寺の47の堂塔伽藍と、法起時の三重塔あわせて48の建造物が世界文化遺産に登録された。法隆寺は「姫路城」とともに日本で最初に登録された世界遺産。

そんな法隆寺一帯を自転車でめぐってみる。

今日のスタートはJR法隆寺駅前から。地元のJRの駅から電車に自転車を乗せる、いわゆる輪行。大阪駅で大和路快速に乗り換え、JR法隆寺駅まで一時間ちょっとで到着する。実際のところ天王寺駅からだと快速で20分ほど、都会のどまん中からすぐに来られる世界遺産。近いねぇ。

駅前にはさっそくおみやげ屋さんが店を構える。奈良の名物って、奈良漬と柿の葉ずしくらいしか思い起こさない。

右へ行こうか。左へ行こうか。ひとまず左へ、こういうのは行き当たりばったりが楽しかったりする。

左に進むと法隆寺駅前の飲み屋街?が出現。夜には賑わっているンだろうか。

農家のお宅は見ごたえがある。

法隆寺  自転車で世界遺産!

法隆寺駅前から、チンタラ走っても、ものの5分ほどで法隆寺の参道入口へ到着。

参道沿いには、お土産屋さんがズラリと並ぶ。やっぱ奈良漬がイチオシなんだな。

国宝の南大門に到着。自転車にはスタンドがないので、門の横に自転車を立てかけておく。

南大門は1438年の再建。入母屋造りの屋根を4本の本柱が8本の控柱が支える八脚門形式。

南大門から入ると正面に中門が見えるはずだが、様子がおかしい。

ああ残念! 中門は平成27年6月から平成30年12月まで3年半の保存修理中。前回の修理は明治36年。110年以上もが経過し劣化や雨漏りがひどかったらしい。でも最近、あちこちの文化財で修理が行われていると感じるのは自分だけ?

中門はこんな感じ。中門の左右に金剛力士像が置かれているが見ることができない。

そんなこんなで、修理完了後に再度訪れた。

中門の3年間の修理が終わり、飛鳥時代から続く空気を感じられる風景が戻った。

西院伽藍の本来の入口となる中門は飛鳥時代の築造で入母屋造りの二重門。二重の大きく張り出した瓦屋根が堂々としていて威圧感さえ感じる。ギリシャから中国経由で伝来したエンタシスの柱が5本立つが、中央のエンタシスの柱は人の入場を塞ぐかのように立っている。上層の高欄には中国古式の建築様式である卍崩しと人字型の割束が配されている。

朱色の大きく口を開いて右に立つのが阿形像(あぎょう)。和銅4年(711年)に造立された金剛力士像は、木の芯の上から粘土で肉付けし形を整える塑造という手法で作られた塑像。

黒色の口を閉じてやや左下をにらみつけて左に立つのが吽形像(うんぎょう)。阿形像と同じく和銅4年(711年)に木の芯の上から粘土で肉付けし形を整える塑造だが、吽形像は16世紀に顔以外の部分は木造に作り替えられている。

日本最初の世界文化遺産 法隆寺

中門は閉ざされていて、拝観者は回廊西側から西院伽藍の内部へと入ることになる。お高い拝観料、1,500円!を払い、西院伽藍の内部へと進むと国宝の五重塔がお目見えする。屋根は上に行くほど小さくなり、最上部の屋根の面積は初重の屋根の4分の1しかないのだと。

五重塔の横に立つ国宝の金堂。日本書紀に670年焼失と記されていて、この建物は8世紀初頭の再建と考えられている。内部には飛鳥時代の金銅釈迦三尊像が安置されている。

五重塔と金堂の間から大講堂を望む。

大講堂は正暦元年(990年)に再建され、ご本尊の薬師三尊像が安置されている。

外から申し訳ございません。

大講堂側から西院伽藍を見渡す。

鐘楼の中に吊るされているのは白鳳時代の梵鐘。柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺。by正岡子規。ってやつの鐘。

西院伽藍をぐるりと取り囲む西院回廊。エンタシスの柱は柱の中央が膨らんでいて安定感が感じられる、というが写真だと光の加減で逆にへこんでいる様に見えたりと。

西院伽藍でご朱印場所を聞くと、トナリだよと。伽藍を出てみると聖霊院にご朱印はこちらと書いてある。ご朱印場所の聖霊院も国宝。聖霊院のトナリに建つ僧侶が生活していた東室も国宝。ほぼほぼ全てが貴重な文化財なんだな。

先に払った入館料1,500円で大宝殿院のお宝も見られる。そう考えるとさほど高くない。大宝殿院に進み、飛鳥時代から1400年に及ぶ遺産の宝物を見た後は、南大門から夢殿のある東院伽藍へ向かう。

壁なんかもボロい、いやいや、古い。奈良は細かい部分も歴史を感じる。

という事で、東院伽藍の国宝夢殿。こちらも先に払った入館料1,500円で拝観できる。

夢殿は739年の建立で現存する最古の八角円堂。

夢殿のてっぺん。

東院伽藍の鐘楼も国宝。

東院伽藍の南門。中宮寺は東院伽藍に隣接しているが、どこにあるのかよく分からなかった。後で調べると東隣。

斑鳩の中ボー。

いい雰囲気の路地を進む。

法隆寺の北側は田園風景。

遠めに法隆寺を見ながら自転車を走らす。

斑鳩神社は、法隆寺鎮守4社の1つで法隆寺の鬼門の守護神。

サイクリングロードが整備されている。

遠目に三重塔が見えてきた。

法輪寺。622年に聖徳太子が病気平癒を祈願して建立した説が有力。三重塔は斑鳩三名塔と呼ばれていたが、1944年に落雷で焼失し、1975年に再建された。残念ながら世界遺産登録とはならなかった。焼失が悔やまれる。

法起寺  自転車で世界遺産!

法輪寺を後にし、サイクリングロードを行くと再び三重塔が見えてきた。

法起寺に到着。

法起寺の三重塔は日本最古で最大規模。

南側にまわる。たぶんこちらが正門だろうが、この門からは入れない。

という訳で、西側の門から入る。

三重塔の各層の屋根は、法隆寺の五重塔の初重、三重、五重の屋根と同じ規模だとか。

聖天堂。

講堂。

鐘楼跡。跡なので鐘は無い。

中門から入ると右に三重塔、左に聖天堂、正面に講堂という配置。創建当時は回廊もあったとか。

法起寺を後に農村風景を満喫しながら自転車を漕ぐ。

法隆寺まで戻り昼メシにしよう。お土産屋とカフェを併設している古民家ショップ。Cafeこもど。

斑鳩でフィーチャーされている竜田揚げ。「竜田揚げ上げ↑プロジェクト」と銘打ってPRされている。「竜田揚げ」の名は斑鳩を流れる紅葉の名所竜田川に由来しているとか。

再び、法隆寺の南大門前へ帰ってきた。修学旅行生で溢れていた。

法隆寺の西側を通り抜ける。

西大門。

西室三経院。こちらも国宝。

薬師如来が祀られる国宝西円堂。747年に創建されたが、1050年に破損、1250年に再建された。

西円堂の奥にある古びた門まで上りの砂利道を駆け上がる。

西大門から西へと進む。雰囲気のよい旧街道のような路地を進む。

西大門から少し行くと藤ノ木古墳が現れた。発掘調査結果から、径約50メートル、高さ約9メートルの円墳であるとされているが、現状は水田や建物に少し削り取られ、高さ約7.6メートル、最大径約40メートル。 玄室内から出土した土師器や須恵器の年代から古墳時代後期の円墳であると推定されている。