慶長5年(1600)関ヶ原合戦の後、出雲と隠岐両国を拝領した堀尾吉晴は、遠江国浜松から月山富田城に入ったが、松江の将来性に着目して城地を松江の地に移し、現在の松江市の礎を築いた。寛永11年(1634)堀尾家の跡を継ぎ、若狭国小浜から出雲に入国した京極忠高は、幕府直轄領であった石見銀山の監督権を得て、歴代松江藩主のなかで最大の領地を治めた。寛永15年(1638)京極家の跡を継ぎ、信濃国松本から出雲に入国した松平直政は、徳川家康の第二子である結城秀康の第三子である。その後、明治4年(1871)まで、松平氏が10代に渡り統治した。
松江城古写真(明治25年8月から明治27年6月頃)松江歴史館蔵
明治8年(1875)広島鎮台は、松江城諸建造物と三の丸御殿を民間に払い下げ、建造物はことごとく取り壊された。天守閣は180円(当時米一俵が3円弱)で落札されたが、有志らが資金を調達し買い戻され取り壊しは中止となり保存されることとなった。
昭和10年(1935)国宝保存法により「国宝」に指定される。その後、昭和16年(1941)太平洋戦争に突入するが、松江は空襲に遭うことなく終戦を迎える。昭和25年(1950)文化財保護法制定により、「重要文化財」と呼称されるが平成27年(2015)7月8日に正式に国宝に指定された。
出雲国松江本城図 国立公文書館蔵
松江城古写真(明治8年以前)松江歴史館蔵 二の丸には、御門、東の櫓、太鼓櫓、中櫓、南櫓、御月見櫓があったが、明治8年に取り壊された。平成13年に太鼓櫓と中櫓、南櫓が復元された。
出雲国松江城絵図 国立公文書館蔵 一部のみ抜粋
正保城絵図は、正保元年(1644年)に幕府が諸藩に命じて作成させた城下町の地図。城郭内の建造物、石垣の高さ、堀の幅や水深などの軍事情報などが精密に描かれているほか、城下の町割・山川の位置・形が詳細に載されている。各藩は幕府の命を受けてから数年で絵図を提出し、幕府はこれを早くから紅葉山文庫に収蔵した。幕末の同文庫の蔵書目録『増補御書籍目録』には131鋪の所蔵が記録されているが、現在、国立公文書館に63鋪の正保城絵図が所蔵されている。
Googlemap2020 「出雲国松江城絵図」と同じアングルのGooglemapで見ると、三乃曲輪の東側と南側の堀など一部は埋め立てられているが、外堀は当時の掘割がほぼ残っている。松江市は先の太平洋戦で空襲に遭わなかったため昔の町並みを色濃く残している、素晴らしい城下町。
明日が大晦日という平成25年(2013年)の年の瀬に家族で島根を訪れた。松江出身の後輩に聞くと、もちろん雪積もってますよ! と言われ、急遽スタッドレスタイヤに履き替えた。
野面積みと打ち込み接という石積み手法で築かれた松江城。松江城は5年間で完成したがそのうちの3年間を石垣造りに費やしたそう。
鯱鉾は木彫りで銅を張った作り。向かって左が鱗が荒いため雄。右が雌。現存している木造で造られた鯱鉾では日本最大で高さは2.08mもある。現在のものは昭和の解体修理時に新調された。天守の最上階は高欄を四方に巡らし壁のない展望のきく望楼で、監視塔と司令塔の機能が備わっている。
桃山時代の様式を取り入れた入母屋破風は千鳥が羽を広げたイメージ。その下の釣鐘の形をした窓は寺院様式の華頭窓と呼ばれる飾り窓。
天守入口の守りを固めるための櫓で、附櫓と呼ばれる。
1階から4階までの階段は、防火防腐のために桐で作られている。階段の桐板の厚さは約10cm、階段の幅は1.6mもある。階段を引き上げることができたりと、他の城では見られない特殊なもの。
昭和の解体修理時まで天守最上階に飾られていた鯱鉾。松の厚板で造られていて天守地階に展示されているが、いつから天守に飾られていたのかは不明。
鎧や兜など天守内部に展示されている。
さすが国宝!すばらしいお城ですな。
ぐるっと松江 堀川めぐりという、屋形船に乗ってみよう。
真冬の今、船内にはコタツがあってポッカポカ。
西側の堀はジャングルクルーズのよう。
クルーズ中は船頭さんが案内してくれる。巧みな話と小唄もまじえて手拍子を求める。
ぐるっと松江 レイクラインという観光バスも走っている。
堀からは武家屋敷も間近に見られる。後で行ってみようか。しかし娘の猛反対に会う。残念。
堀に掛かる橋はとても低くとてもくぐり抜けそうにない。でも、橋に近づくと顔をうつむけないといけないくらいオレンジ色の屋根が下がり、無事くぐり抜けられる。
すてきな町だなぁ~と、しみじみ思いふける。
松江といえば、シジミか出雲そば。奥さんと自分は寒いので舞茸の天ぷらそばをチョイス。出雲そばは、そばの実の殻をそのまま挽いていて麺は黒く風味が強い。でも十割そばなのかポロポロと切れる食感はいただけない。
お兄ちゃんは、赤く丸い器が3段積まれた割子そば。これが出雲そばの定番なんだ。妹ちゃんは月見とろろそばがいいんだって。