続 泊りでへんろ 室戸岬へ Go ! その3

今日は徳島県の牟岐駅から自転車へんろをスタートし、八坂八浜という白砂青松の入り江と緑豊かな岬が交互に交錯する風光明媚な絶景を官能し、空と海と山しかない延々と続く海岸沿いを室戸岬へと南下してきた。最御崎寺へと続く急斜面のへんろ道をヘロヘロになりながら自転車を押し上げ、ようやく一息付くことができた。さすが高知は修行の道場、最初からやってくれるぜぃ。

最御崎寺の境内から少し下りながら50mほど歩くと、室戸岬灯台の間近まで行く事ができる。154.7 mの標高に設置された灯台からは、左右に太平洋の水平線が広がり、180度以上見渡せる。ここにいると地球の丸さを何となく感じる。

白一色に塗装された鉄製の室戸岬灯台は、明治32年(1899年)に初点灯された。当初は石油ランプの灯りだったが、大正6年(1917年)に電化された。現在は、直径259cm、焦点距離92cmの第一等フレネル式レンズを備えた第1等灯台で、その光達距離は26.5海里(約49km)と日本一の灯台である。日本の第1等灯台は、犬吠埼灯台(千葉県銚子市)、経ヶ岬灯台(京都府京丹後市)、出雲日御碕灯台(島根県出雲市)、角島灯台(山口県下関市)、室戸岬灯台(高知県室戸市)の5箇所がある。

眺望はサイコー。天気もサイコー。

室戸岬灯台と最御崎寺をあとに室戸スカイラインへ下りていく。デートかぁ。若いっていいなぁ、と本気で思う今日この頃。

さぁ、お楽しみの室戸スカイライン下り坂でございます。心が弾み、顔がにやける。

めっちゃスピードが出る出る! ヘアピンカーブは中腰で攻めるのだ。

残りあと2ターン。絶景よりも下り坂に心が躍る。

あんなに登るのが大変だったのに、息はゼーゼー、心臓バクバク、汗はダラダラ、足腰フラフラ、腕はパンパンになりながら必死で登ったのに、坂を下るのはアッという間に終わってしまう。楽しい時間はあっというまに過ぎ去っていくゼヨ。

いくつかの漁港を見ながら国道55号線を進むと室津港に到着。次の札所、津照寺は港のすぐ近くのはず。

第二十五番札所 宝珠山 真言院 津照寺

弘法大師が四国御修行のおり、山の形が地蔵菩薩の持つ宝珠に似ているところから霊地とし地蔵菩薩を自ら刻まれ本尊とし、宝珠山真言院津照寺と号された。

はじめ長曽我部氏の庇護を受け津寺村と称して七町余の地高を有していた。その後、山内氏が国主として入国して更に一町五反余の田地を寄附され、寺院の運営も全て藩営とされ隆盛を極めていた。明治の改革で地領は一旦政府に没収または小作農民に払い下げとなり寺は廃寺とされた。明治16年に寺名復興を許されたが寺域は極度に狭められ昔日の面影はなく、本堂は地蔵堂として庫裏が小学校として残っていた。大師堂は昭和38年に本堂は昭和50年に新築された。

山門横の駐車場に自転車を置かせてもらい、歩いて境内へ進みいる。すると最御崎寺で出会った元気なオバちゃんに再び会う。「あら~自転車早いねぇ。」「下りだったからね~。」などとまた軽い会話を交わす。どうやらご主人と二人で車お遍路をしているようだ。

山門くぐるとなんてこった、平地のお寺と思っていたのに、本堂へは石段を登らねばならん。

竜宮城風の鐘楼門を抜ける。石段は続く。

足がつりそうになりながら、本堂へ到着。本堂の外見はプレハブちっく。扉はアルミサッシ。せっかく雰囲気のあるいいお寺なのにオモムキが乏しいぜよ。

でも本堂の屋根の上のオブジェはカッコよろしい。

津照寺という寺号はここにぴったりの名前だな。津(港)を照らすお寺。

大師堂は山門の脇に建っている。

大師堂の脇の納経所でご朱印をいただき、宝珠山 真言院 津照寺をゲット。

室津の魚屋さんには新鮮な魚が並ぶ。さすが港町。でも買わずに覗くだけ。

小学生はどこも元気だね。

次の札所、金剛頂寺へ向けて海岸線をひた走る。

標石が建つ。海岸沿いを離れ、山へ向いて走る。そう金剛頂寺も山の上のお寺なのだ。

のどかな山村を進む。

あぁやっぱり登り坂なのね。

へんろ道もあるが、最御崎寺の二の舞になるので、今回は車道を行く。

汗かきながら高度を上げる。

更に登る。

石段発見。自転車にはスタンドが無いので、タイヤを溝にはめ、柵に立てかけておく。

第二十六番札所 龍頭山 光明院 金剛頂寺

寺から4kmのところに女人堂と呼ばれる不動堂があり、若き弘法大師はこの間を毎日行き来し修行した。縁起によると、大師が平城天皇(在位806〜809年)の勅願により、本尊の薬師如来像を彫造して寺を創建したのは大同2年と伝えられている。創建のころは「金剛定寺」といわれ、女人禁制とされて、婦女子は行当岬の不動堂から遙拝していたという。

嵯峨天皇(在位809〜823年)が「金剛頂寺」とした勅額を奉納されたことから現在の寺名に改め、さらに次の淳和天皇(在位823〜833年)も勅願所として尊信し、住職は第十世まで勅命によって選ばれており、以後、16世のころまで全盛を誇った。室町時代に堂宇を罹災したこともあったが復興は早く、長宗我部元親の寺領寄進や、江戸時代には土佐藩主の祈願所として諸堂が整備されている。

行当岬の頂上の原始林の椎に覆われて静寂さがただよう境内が金剛頂寺であり、室戸三山の一寺院として「西寺」の通称でも親しまれている。朱印も「西寺」と捺される。

外人さん金髪女子お遍路の集団がゾロゾロと降りてきたり、山伏の格好をした女子3人組みを見送ったりしながら、石段を上る。足がつりそうになりながら石段を上る。なんで山ばっかりやねんとブツブツ言いながら石段を上る。

山門。

でかいワラジが奉納されているシブい山門。

一粒万倍の釜。弘法大師が炊いた米が一万倍に増え、人々を飢えから救ったという伝説のお釜。今は底が抜けてしまっている。

立派な本堂。

という事で、龍頭山 光明院 金剛頂寺をゲット。

帰りはへんろ道を下ってみる。最初は緩めのオフロード。自転車にまたがり下りて行く。

おおっと、かなりきつめの下り坂。ところどころ岩が顔を出しているので慎重に下って行く。が、何度か立ちゴケをかます。

狭いし急坂だし路面は岩がゴロゴロしていて、自転車に乗ってでは降りられん。

ヘルメット無しプロテクター無しなので自転車を降りて、慎重に歩きで降りる。足元がすべり自転車がすっころがる。

右はガケ、慎重に自転車を押して下りていくが、狭くて自転車もろとも崖下に落ちそうになる。ここで死んでもいいかしら? いやいや、もう一回○○したい。

路面状態がよくなったので、一気にへんろ道を下りていく。

のどかな一本道を海岸方面へ進む。

行当岬から振り返ると、今日走ってきた室戸岬まで見渡せる。

国道ではなく堤防沿いを進む。

吉良川を渡ると古い街並みが残っている。吉良川町は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

土佐漆喰を使った白壁と、台風の強い雨風から家屋を守るための水切り瓦が独特の景観を見せる家並み。

明治期に建てられた漆喰壁の商家や、水切り瓦の蔵が立ち並び、日本の懐かしい町並みを今に残している。

そういえばまだ今日の宿泊先を決めていない。しぶい街並みの吉良川町で泊りたくなり、しばらく情報収集する。スマホ検索では「和の宿角屋」しかヒットしない。電話を掛けてみるが、「和の宿角屋」は予約でいっぱい。残念!

日が暮れてきた。いまだ宿無し。この先の奈半利あたりの宿をスマホで探す。「ホテルなはり」しかヒットしない。電話を掛けてみるが、「ホテルなはり」も予約でいっぱい。丁寧にお断りされる。

うーん、もっと民宿とか遍路宿とかあるはずなのに、自転車にまたがりながらの立ちスマホ検索では探せない。とかやっているうちに辺りは真っ暗になってしまった。最近は日暮れが早くなってきたなぁ。などとまだ余裕をかましている。

野宿か?、野宿しかないのか?、朝晩は冷え込むなぁ、今日は寝袋も銀マットも上着も持ってきていない。とにかく次の町の奈半利まで暗闇の海岸線を国道に沿って無心で自転車を走らせる。奈半利駅付近をうろついてみるが、居酒屋やスーパーなどあるが、泊れそうなところは無い。列車で移動という事も頭をよぎった。でも、後から聞いたところでは遍路宿や宿坊が結構あるらしい。そんな情報はスマホでは拾えない。

時刻表を調べると3分後に出発する列車がある。これを逃すと次の列車まで35分待ちだ。駅の高架下の駐輪場に自転車を停めて荷物をまとめ、猛ダッシュでホームに駆け上がる。無人駅なのできっぷを買わずに列車に飛び乗った。奈半利から先の町は安芸、野市、後免、高知。高知市内まで行けば高知在住の友人宅があるが今日は留守のよう。しからばネットカフェもあり安上がりで泊れるが、高知駅までの運賃は片道で1,330円も掛かるので安上がりの意味が無い。次の町の安芸で探したほうが良さそうだ。乗客が少ない事とディーゼルエンジン音で車内がやかましい事をいい事に、列車の中で電話する。電話の一軒目はホテル弁長。シングル素泊まり5,140円。電話越しで感じのよいオバちゃんだったので即予約する。

安芸駅で下車。宿がきまり、あとは晩メシ何にしよう? 駅前の食堂は夜は居酒屋として営業していてよさそうなのだが満席なのであきらめる。駅に併設されている「ぢばさん市場」を物色するが、ほぼ売り切れ状態で棚にはほとんど何もないが、なんとか腹に納まりそうな物を買う。

到着時のホテル弁長を撮り忘れたので、これはチェックアウト後の夜明け前の写真。ホテル弁長はネット予約すると500円引き。でも今回は電話予約なので該当しない。しかしホテル弁長には、「お遍路さん特別価格」という設定があるのだ。なんとシングル素泊まり4,600円と安い! ホテル2階がフロントになっていて、電話のオバちゃんにチェックインをお願いする。「電話の時には言ってなかったけど、こう見えてお遍路なので「お遍路さん特別価格」になるのかな?」と、聞くと「なるよなるよ。」と軽快にチェックインしてくれた。「証拠のご朱印帳でも見せようか?」と言うと「そんなバチ当たりな事できん、信用しちゅーき。」との事。鼻水をすすっていると「外に長いこと居たから鼻水が出ちゅーき? コーヒーでも入れちゃろうか?」と言ってくれる。実はコーヒー飲めない事を告げ、気持ちだけありがたく受け取る。

まぁ期待どおりというか、想像どおりというか、風呂に入り寝るだけなので十分すぎる。

今日の晩メシは、「ぢばさん市場」で仕入れた栗ご飯とアマゴの唐揚げをアテに、土佐鶴ワンカップを飲む。そしてチーズおかきをアテにのどごし生を飲む。土佐鶴うまし!